いまや一大ムーブメントとなっているD&I(ダイバーシティー&インクルージョン、一人一人の違いを尊重すること)の流れが、高級時計も巻き込んだ。3月21~26日にスイス・バーゼルで開催された世界最大の時計・宝飾見本市「バーゼル・ワールド(BASEL WORLD)」では、「G-SHOCK」「ロレックス(ROLEX)」「ショパール(CHOPARD)」「ウブロ(HUBLOT)」などが、D&Iの象徴ともいえるレインボーカラーの新作ウオッチをそろえた。
「G-SHOCK」は上位シリーズの“MT-G”から“MTG-B1000RB”を発表した。同シリーズの発売20周年を記念したモデルで、価格は11万5000円。5月17日に発売する。メタルパーツの各所にレインボーIP(イオンプレーティング)を施し、月の光によって生じる虹、月虹を表現した。専用パッケージにもレインボーカラーを用いる。デザインに目を奪われがちだが、ベゼルと裏蓋をパネル状のパーツで結合するコアガード構造で「G-SHOCK」ならではの耐衝撃性も確保する。
残りの3ブランドはカラフルな貴石でレインボーを表現した。「ロレックス」の“オイスター パーパチュアル デイデイト 36”は542 個のダイヤモンドを使ったパヴェダイヤルにレインボーカラーのサファイア製バーインデックスを配置。「ショパール」の“インペリアーレ ジョワイアリー レインボー”は、ベゼルにぐるりとバゲットカットのサファイアをセットした。「ウブロ」の“ビッグ・バン ウニコ キングゴールド レインボー”はベゼル、ラグ、アラビアインデックス、スモールセコンドにルビーやサファイア、アメジストなどをレイアウトし、ベルトまでレインボーカラーにした。
D&Iの波は、ファッションの世界から広がった。2018-19年秋冬のニューヨーク・コレクションはレインボーカラーを通してダイバーシティーを訴えるブランドが続出。19年春夏パリ・メンズ・コレクションでは「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」がランウエイまでレインボーに染め上げた。これに続いて多くのブランドは今、レインボーカラーもしくはレインボーモチーフの服を作っている。ただ時計におけるレインボーカラーには、ゴールドやステンレスによるシルバーカラーなど既存のケースでは満足できない時計ファンのニーズに応える目的もあり、今年はブロンズケースの新作も多かった。